四季の野鳥 (9)
鴨の浮寝 勝股あきを
日本では春に来て夏を過ごして秋に帰る燕と、入れ替わりに秋に来て冬を過ごして春に帰る鴨とが我々の最も身近な鳥かも知れない。
冬のバードウオッチャーの楽しみは、鳥仲間とグループで鴨等の探鳥に出かけることだったが、昨今はコロナ問題の制約で思うように出かけられないのが現状である。
鴨の中のマガモ、オナガガモなどの水面採餌鴨が水草を食べるときには、逆立ちをするように尻を立て首だけを水に入れるユーモラスな姿は見たことがある人もいると思う。
ところで鴨は夜行性だということはご存じですか。猛禽類に襲われる心配がない場所では、昼は食事をしている時以外には眠っているのが鴨の浮寝。
カモの語源について大言海は「浮かぶ」にもとづくとしている。(図説鳥名の由来辞典)
奈良時代からコガモ、ヲシドリなどが知られていたが、室町時代には「あをくび」と言ってマガモを区別して呼ぶようになった。(前掲書)
(例句)
城の死角鴨ら屯して浮寝山口青邨
流れつつ浮寝の鴨の醒むるなし清崎敏郎
鴨浮寝ときに覚めては向きかふる高浜年尾
ひねもすの天与のねむり浮寝鳥鷹羽狩行
浮寝鳥金銀の星待ちてをり皆川盤水
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