和布刈場へ舟の着く間に鎌を研ぐ
岩を掻く音の伝はる和布刈竿
料峭や坂の角度に身を屈め
人語より鳥語の忙し寒の明け
捨て舟の貝殻乾ぶ多喜二の忌
旅に出て甘味を欲す二月尽
魚は氷に上りてよりの水の色
外灯の及ばぬところ春の影
夥し抜け羽そのまま鳥帰る
葺替の屋根へ継ぎ足す長梯子
春たのし沓脱ぎ石に影踊る
大蛤一夜に吐きし砂の数
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