鳴き返す力のなくて残る蟬
鳴き足らぬ蟬の寄り来る一所
仰向けの蟬の姿をしみじみと
コスモスの密なるところ風遊ぶ
穴に入る蛇の後ろに続くなし
出遅れも抜け出すもなし鰯雲
宵闇や終の住処をつくづくと
時違へ所を変へて今日の月
渡り鳥今来しことを声高に
硝子戸に守宮張りつく独りの夜
真向ひの風に漕ぎ出す釣舟草
一目には見分けのつかぬ菜を間引く
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