玩び蚊帳吊草の名を知らず
等分に誰彼無しに西瓜切る
流木の岩打つ音や梅雨出水
浜に出て風のべた付く残暑かな
浜暑し雑魚ばかりなる地引網
手渡しに摑み所のなき海月
風波に舳先を高く釣船草
夕風に変りてよりの閑古鳥
透けて見ゆ俄作りの鴉の巣
音もなく舟虫たかる魚の骨
さくら貝一夜の波に姿消す
炎上の沖舟のごと秋入日