村雨に咲き急ぎたる破れ傘
老鶯に応ふる鳥もなかりけり
手の届くところを先に毛虫焼く
遊船を下りたる後も揺れ続く
打ち寄せしもの置き去りに秋の浜
連れ立ちて声を惜しまず秋の蟬
上げ潮に即かず離れず海月浮く
盆帰省語尾に「ね」のつく能登ことば
間を置きて秋蟬の声先細り
秋雷の松の生傷剝き出しに
秋の波寄せて嵩増す忘れ潮
水平線にかかりて速し秋入日
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