すぐ転ぶ寄居虫の宿大きすぎ
北窓を開き真面に海の風
流れ藻に釣り糸絡む目借時
春興や下船の後も酔ひ残る
引き潮の浜に散り敷く桜貝
片足上げ波呼ぶ姿潮まねき
行く春の波打際を行き戻る
水平線に掛りてよりの春入日
流木を置き去りのまま春嵐
春愁や右も左もマスクの眼
海底に秘め事のなし箱眼鏡
夕焼に沖の輝く瞬く間