ちぐはぐの鋏をかざす潮まねき
まねきたる潮に流さる潮まねき
壺焼のつぼに火のつく磯焚火
浮き沈みして波に乗る大海月
少年ら海月に刺され蚯蚓腫れ
舟虫の逃げ足早し船の底
引き潮に扇開きの桜貝
春愁の波打際を行き戻り
夏痩せの頰にコロナのマスク痕
老鶯の一と声の後続かざる