棚山波朗主宰 作品
破れたる野寺の太鼓日脚伸ぶ
立春の影動きけり藪の奥
波音のほかは聞えず海苔掻き女
修二會の火の粉を拂ふ竹箒
奥多摩や日向も陰も梅盛り
冴返る罠に残れる鳥の爪
手拭をくるめて母の種袋
春の水日當るところ影濃かり
潮風に尾を吹かれゐる夕雉子
(句集『雁風呂』より)
蟇目良雨副主宰 作品
傘寿を迎え
初鏡頰を叩いて励ませる
妻三句
粥柱おろそかならず妻の恩
木の葉髪「すみれの花咲く頃」歌ふ
手をにぎり返しておくれ帰り花
父の世の男よかりきインバネス
早口で蕪村の墓へ三十三才
かの世にて蕪村と葱を喰ふことに
- 2024年11月●通巻544号
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