棚山波朗主宰 作品
破れたる野寺の太鼓日脚伸ぶ
立春の影動きけり藪の奥
波音のほかは聞えず海苔掻き女
修二會の火の粉を拂ふ竹箒
奥多摩や日向も陰も梅盛り
冴返る罠に残れる鳥の爪
手拭をくるめて母の種袋
春の水日當るところ影濃かり
潮風に尾を吹かれゐる夕雉子
(句集『雁風呂』より)
蟇目良雨副主宰 作品
傘寿を迎え
初鏡頰を叩いて励ませる
妻三句
粥柱おろそかならず妻の恩
木の葉髪「すみれの花咲く頃」歌ふ
手をにぎり返しておくれ帰り花
父の世の男よかりきインバネス
早口で蕪村の墓へ三十三才
かの世にて蕪村と葱を喰ふことに
- 2023年12月●通巻533号
- 2023年11月●通巻532号
- 2023年10月●通巻531号
- 2023年9月●通巻530号
- 2023年8月●通巻529号
- 2023年7月●通巻528号
- 2023年6月●通巻527号
- 2023年5月●通巻526号
- 2023年4月●通巻525号
- 2023年3月●通巻524号
- 2023年2月●通巻523号
- 2023年1月●通巻522号
- 2022年12月●通巻521号
- 2022年11月●通巻520号
- 2022年10月●通巻519号
- 2022年9月●通巻518号
- 2022年8月●通巻517号
- 2022年7月●通巻516号
- 2022年6月●通巻515号
- 2022年5月●通巻514号
- 2022年4月●通巻513号
- 2022年3月●通巻512号
- 2022年2月●通巻511号
- 2022年1月●通巻510号