棚山波朗名誉主宰 作品
羽咋
空と海けぢめ定かに夏来る
戸口より緑走れる茶山かな
一滴の音を余さず新茶汲む
真白なることをまづ誉め柏餅
曇る日の空に溶け込む桐の花
ぼうたんに近寄りすぎて色失ふ
空よりも地に香を放つ夜の薔薇
句集『宝達』より
蟇目良雨主宰 作品
妻癒えよ振れば音する桜貝
新茶汲むおーいと呼べど妻の来ず
この塚のあるじ有耶無耶地虫出づ
桑の葉の照る丘陵の風薫る
法螺の音の谺走りや谿若葉
竹皮を脱ぎ光陰を取りもどす
雹打ちし夜の杉山の匂ひ濃し
「俳句四季」五月号掲載分含む
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