棚山波朗名誉主宰 作品

竹藪の隙間をくぐり二月来る
榛の木の畦に一列冴返る
凍返る地肌の荒き雑木山
一村の音を飲み込む雪解川
さより舟潮目伝ひに網曳けり
高波の間合をはかる海苔搔女
直立も這ふも一斉草萌ゆる
                       句集『宝達』より

蟇目良雨主宰 作品

初鏡傘寿の吾に出会ふとは
老の春妻の大なる遺産受く
熱燗やしみじみ妻はよかりけり
神田川時代思へば湯ざめして
風呂吹や女の舌が長く伸び
男系の吾にて尽くや日記買ふ
霜柱ほきほき折るる石鼎忌
子を忘れゐるかに鳰の長潜り