蟇目良雨主宰 作品

甘酒や風にはためく大幟
竹の子の中に姫住む高廈(こ う か)あり
        5月8日 鈴木節子さん急逝
余花までも見尽くして旅立たれけり
干場より高く紺屋の鯉のぼり
柿若葉水を貰ひに研屋来る
伽羅蕗の辛さも親し妻の死後
更衣風呂敷好きの妻なりき
あめつちのまぐはふ信濃御柱
        孫娘
あんな子が二十歳になるよ桐の花
江戸前の堅穴に住む穴子かな
散る牡丹ちあきなおみに酔ひ痴れて
啄木にまた泣かさるる矢車草