蟇目良雨主宰 作品

自堕落な元朝もよし妻の死後
初日記仙崖の〇(まる)描いて終ふ
獅子舞の雪駄の天へ向くことも
懸想文やさしきことを難しく
歌留多読む母のいつもの割烹着
花街の昼の静かな松納
女正月山葵を夫に擂らせけり
わたつみの太初の暗さ吉書揚
舟で着く四五人梅を探りけり
ストローに似て水仙の軽さかな
薄紙を剝ぐやに癒ゆる春隣
花すみれしたたかに風玩ぶ