蟇目良雨 主宰 作品

梅雨明
ひきがへる動くとき来て動きけり
草の波寄せては返す大夏野
藻の花の千切れんばかり水奔る
思ひ出す悔や胡瓜の疣に触れ
下野・壬生干瓢剝見学
腰紐の巾に干瓢剝かれをる
ひと玉を剝き干瓢の尺知れず
干瓢に染みこんでゐる栃木弁
花びらの垂れて大きや花菖蒲
紙魚もまた父の遺愛の廣辭林
梅雨明を厭ふよはひとなりにけり
柚子の花モダンな父に追ひつけず
いそぐ蛭ドルフィンキックしなやかに