「俳句文法」入門 (17)          
─ 形容動詞について─             大林明彦 

 自立語で活用があり単独で述語になる。状態・性質を表す。「なり」「たり」で言い切る。ラ変型の活用をする。ラ変動詞「あり」との結合によりできているからである。《静かにあり→静かなり》《堂々とあり→堂々たり》前者をナリ活用、後者をタリ活用という。形容動詞

 ナリ活用の例語例句(未・用・止・体・已・命の順)
折にふれば何かはあはれならざらむ『徒然草』
水切りの音やはらかに川温む岡村實
雪代にゑぐられ木の根あらはなり山﨑赤秋
おぼろなる木の芽峠に哀史あり山﨑赤秋
年の瀬のうららかなれば何もせず細見綾子
けさの春日本海よしづかなれ詠人しらず
 ナリ活用は和文体に多く用いられる。あはれなり・大きなり・徒然なり・豊かなり等。タリ活用はすべて漢語。畳語(同じ語を重ねる)が多い。騒然たり・漠然たり・悠悠たり・粛粛たり・寂寂たり・揚揚たり等