「俳句文法」入門 (63)
─── 接続助詞「つつ」と「ながら」について ─── 大林明彦
「つつ」は動作・作用の反復、継続を表す。(…ては。…続けて、と訳す。)
「竹を取りつつ万の事に使ひけり」 (竹取物語)
枝移りしつつ 囀近づけり上野直江
瀬の音に沿ひつつ 行くや初山河野尻瑞枝
また動作・作用の並行を表す。(…ながら。…つつと訳す。)「つつ」は動詞の連用形に接続する。
「顔をうちまもりつつ長う鳴くも…」 (更級日記)
鞆の津の栄枯聞きつつ桜鯛伊藤伊那男
紛れつつ空に房垂る白き藤松谷富彦
「ながら」は動詞の連用形に接続する。動作・状態の存続を表す。(…ままで、と訳す。)また動作・作用の平行を表す。(…ながら。…つつ、と訳す。)
「源氏の五十余巻、櫃に入りながら …」 (更級日記)
「食ひながら文をも読みけり」 (徒然草)
鬼鼓(おんでこ)の打ちながら来る代田道清水恵子
鱈鍋や玻璃に怒濤を聞きながら𠮷村征子
以上は順接だが逆接の確定条件を表す時もある。
「頼み聞こえながらおとしめ…」 (源氏物語)
貧ながら夏の覇者とぞなりにける詠人しらず
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