「俳句文法」入門 (8)
─ ラ行変格活用について ─ 大林明彦
日本語の動詞の殆どがウ段音で言い切るのに対し、イ段音で言い切るのがラ行変格活用の特徴である。
「あり・をり・はべり・います(そ)がり」の四語だが、複合動詞「さり・しかり・かかり」も入れて覚えておこう。語幹の次から、ら・り・り・る・れ・れと活用する。終止形が「り」とイ段音であるのが、普通一般の四段活用と違うのだ。例句を挙げよう。
藻の花の揺らめいてをり一ところ乾 佐知子
形代の重なりしまま沈みをり斉藤やす子
昆布舟帰路を一途の重みあり花里 洋子
はべ(侍)りは、「あり」「をり」の謙譲語で、お傍に仕える、居させて頂くの意。また丁寧語でもあり、その時はあります、おります、ございますの意。います(そ)がりは、やはり「あり」「をり」の尊敬語で、いらっしゃる、おいでになるの意。
さりは、「さ+あり」の約語で、そうだ、そのようだの意。然りと表記の事も。しかりは「しか+あり」の約語で、そうだ、そのとおりだの意。然りと表記。
かかりは「かく+あり」の約語で、こんなである、かようであるの意。斯かりと表記。
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