佇めば後ろにまはる秋思かな
自然薯を掘る段取りの賑々し
鳴き足らぬ蟬の集まる一樹かな
残る蟬声とはならず黙り込む
「対岸」三十年祝句
芒新穂海よりの風定まりぬ
空稲架に海の風鳴る能登の涯
秋めくや寄すよりも引く波頭
空耳に八月尽の波の音
打ち寄せしもの置き去りに秋の波
去り際の海の果てより秋の声
引く波に砂文字消さる秋夕焼
鬼柚子の頑固一徹鎮座せる
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