船底の水垢落とす神無月
海の神旅立つ前の船支度
流れ藻に小魚集ふ神の留守
神の留守注連で繋がる夫婦岩
神の留守波より高き忘れ潮
御忌荒れ岩を揺さぶる波の音
しぐるるや片足立ちの鷺の黙
寒禽に心の内を見透かさる
出しぬけに海より来たる能登時雨
賑々し霰飛び散る能登瓦
初雪を諸手にこども心かな
冬鳥の声をつつしむ羽音かな