諸共に負蝗虫のころげ落つ
流れ来るものにかまはず下り簗
棹となり鉤の手となり鳥渡る
雁首に火種の残る思草
今年また時を違はず狂ひ花
寄せて引く波の単純秋の声
流木はどこへも行かず湾小春
冬の蝶一花のほかに求むるもの
首長きことを名にもつ大根かな
陣を組む鴨に密議のあるごとし
神酒に酔ひ船にも酔うて神の旅
遠山を見て酔ひ醒ます旅の神