鳴き足らぬ声をあらはに残る蟬
残る蟬鳴くと言ふより証す声
秋めくや釣瓶落しの後の黙
かたまりて人声圧す秋の蟬
まだ残る蟬の二声三声かな
海へ出て色なき風を満面に
落雷の松の生傷剝き出しに
離れては寄りては鶏頭つくづくと
深秋や晩年の徒の涙癖
かまきりの圧死歩道にこびりつく
ことさらのことはなけれど秋思かな
声変り色変りして鳥渡る
- 2024年12月●通巻545号
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