父の日の常備薬また飲み忘る
ほととぎす己急き立つごときかな
饒舌な鳴き声バードウィークかな
麦笛の高音は息の続かざる
土用波艪を漕ぐ舟を翻弄す
天草を諸手摑みに海女浮上
台風に打ち上げられし破船かな
風向きの変りてよりの遠郭公
脱ぎさしの姿そのまま蛇の衣
文字盤はいつも定時の時計草
打ち寄せしものをそのまま夏去りぬ
働きづめ綾子の燕帰りけり