船虫の集まり来たる忍び足
打ち損ね先の減りたる蠅叩き
あいの風しぶきを被る神の岩
水平線にかかりてよりの大夕焼
筆談の文字の掠れや秋入り日
コロナ禍の路地にもの焚く無月かな
コロナ禍の街をマスクが素通りす
箱眼鏡竜宮城を大写し
海底の砂渦を巻く箱眼鏡
流木のぶつかりあうて夏終る