棚山波朗名誉主宰 作品

流木の岩にごつんと冬に入る
奥能登の荒磯伝ひに冬来る
しぐるるや砥石を脇に朝市女
地に還る色の極みの朴落葉
冬紅葉天岩戸へ錐揉みに
木枯の去りても残る波の音
身のどこか軽くなりたり木の葉髪
句集『宝達』より

蟇目良雨主宰 作品

        深見けん二氏逝く
一葉落つ虚子の其の後を見尽くして
序二段の胸たぷたぷと負角力
木犀や妻との時間反芻す
亀鳴くと振り返るのもえにしかな
みちのくは母郷雑茸汁うまし
     嘗て杭州にて
蘭亭に序を嘯くや竹の春
新酒酌む会稽山の夕日見て