棚山波朗主宰 作品
白魚をひと飲みにして喉さみし
蟻穴を出てしばらくは一塊
鳥雲に力抜けたる川の音
伊豆の海潮目伝ひに鳥帰る
春炬燵上げて母の座定まらず
空のあく時を待ちかね揚雲雀
鷹鳩と化して青菜をつつきをり
行き止りあれば戻りて野に遊ぶ
(句集『料峭』より)
蟇目良雨副主宰 作品
穀日や書を読んでわが滋養とす
西方の護摩火のごとく冬夕焼
空海も吾(あ)も日に二食日脚伸ぶ
塩の道抜けはるばると鳥帰る
追儺会の弦かき鳴らす蟇目番
坂の名に金魚や蛙青き踏む
体液を横たへてをり目借時
- 2024年11月●通巻544号
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