棚山波朗名誉主宰 作品
梅雨茸地をはふ風の雑木山
十薬やもろ肌を脱ぐ辧財天
栗の花地に落ち錆の始まれり
呼ぶごとく應ふるごとく河鹿笛
紫蘇畑に雨音高き一ところ
郭公や肩幅廣き穂高嶽
夜鷹鳴きいつも何かに急かれゐる
句集『雁風呂』より
蟇目良雨主宰 作品
山繭に天平の色すこしある
犬ふぐり太古の海の青湛へ
性(さが)かなし花見の父を母が擲ち
白木蓮や母は女をいつ捨てし
風割つてとぶ熊蜂の厚き胸
たそがれて人の恋しき松の芯
一生の今どのあたり新茶酌む
- 2024年11月●通巻544号
- 2024年10月●通巻543号
- 2024年9月●通巻542号
- 2024年8月●通巻541号
- 2024年7月●通巻540号
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