棚山波朗名誉主宰 作品

初明り波打ち際の砂締る
桑畑に諸鳥の來る初景色
甚五郎の龍などを見て初詣
杉山に水音を聞く淑気かな
軍鷄の籠路地で繕ふ三日かな
桑瘤に凧絲絡む三日かな
破れたる野寺の太鼓日脚伸ぶ
                        句集『雁風呂』より

蟇目良雨主宰 作品

   祝句
鍬の柄に三代の名や初田打
三猿の手を疎かに神の留守
没骨の彩り美しき柿落葉
落葉踏むかそけさ妻を送りけり
あの星に妻のまたたく夜鳴蕎麦
新海苔で寿司巻く妻がまな裏に
綿虫も妻もただよふ夕べかな
亡き妻に聖歌を低く口遊む