蟇目良雨主宰 作品

日脚伸ぶどこか何かに追はれゐて
上げ下げの長き棒見ゆ海鼠舟
葉牡丹の薔薇の容を超えるとも
三寒の珈琲四温のミルクティー
吹越の散華のごとし阿弥陀堂
春立つとインキを青に変へにけり
うすらひにきのふの風の記憶かな
邪鬼の眼の上目づかひや冴返る
等伯の松を哭かせて料峭忌
下萌に負けじとばかり鉢の土
たんぽぽの絮を飛ばして若返る
闇といふ大きな器梅かをる