蟇目良雨主宰 作品

弟を叱りながらに雛飾る
春愁の始まる手持ち無沙汰かな
一歩二歩三歩初音のまだ止まず
      坂下千枝子さん囲む会
山ほどの魚介と酒の奥に花
老殘の今こそ桜ふぶきけり
一片も春塵立てず芸舞妓
世の塵を洗ふ大雨彼岸過
三椏の花に母の香ありて嗅ぐ
八十にして未だ欲しき桜餅
曳綱のまぐはひ結び山笑ふ
生きるとは恋することや桜貝
鷹鳩と化して首こうべを振り歩く