蟇目良雨主宰 作品

 今年は
駈け足で来る佐保姫の御一行
裳階まで吹き上げられし花の片
春眠し遠流の隠岐へ旅ごころ
  H氏
摘草に簡易韓服着て現るる
寧楽のひと匂ふがごとし春の風
春愁や遺影の妻の若過ぎて
新社員昔々の我がゐて
菜種梅雨ピアノに涙ぐむことも
古書街の一肆一肆に春惜しむ
  「風港」二十周年祝三句
風港に根をどつしりと碇草
千の田の畦をくまなく塗り固め
奥能登は雅や雪割草のころ