蟇目良雨主宰 作品

泪出るほどのおかしさ初笑

初場所や風の櫓に太鼓鳴る
初燈ほとけの妻の笑みしまま
湯湯婆にあばら骨あり波郷の忌
幹を出て最短距離に返り花
枯れてゆく菊を我が身と思ふまで
鶺鴒の尾の鎮めゐる要石
重ね着てうゐのおくやま越えにけり
がばりとはもう起きられず菊も枯れ
父の世に枯菊を焚く情あり
筒先で芦かき分けて鴨猟師
晩年の手ごたへに似て葛湯溶く