蟇目良雨主宰 作品

日脚伸ぶ過去を具に思ひ出し
年末の休暇のごとく風邪籠る
この道を踏み違へまじ去年今年
悴む手能登の悲報の紙捲る
山の日はさらりと去りて紙干場
瞽女の道ありしところに崖氷柱
老いたりと思はれ届く寒卵
福引を妻子見守るなかに引く
富士よりも火柱高し浜どんど
女正月光源氏を品定め
寒椿闇を怖がる妻の墓
鏑矢の穴吹き試す春隣