蟇目 良雨 主宰 作品

岡持のビール行き交ふ五月場所
軽暖や生絹のやうな雲流れ
雨を呼ぶ雲の迅さよ栗の花
白波をV 字に船や夏来る
背の高き踊子草もありにけり
恋文のやうに新茶の封を切る
器には縁なき一世(ひとよ) 新茶汲む
一滴となるまで注ぐ新茶かな
青葉潮さらに追手に帆をあげて
若き日の旅西蔵 (ちべっと)にもう直ぐといふ黴の宿
露草や妻問ひの径濡れてをり
小面に幾つも翳や薪能