2018年2月(通巻463号)
自由時間 (57) 2018年2月号
2018年2月1日 自由時間
2008年のこと、イタリア北部の個人宅から東洋人と思しき男性の肖像画が発見された。縦五十三センチ、横四十三センチの油彩画で、茶色の上着、黒い帽子、白いフリルという十六世紀後半のスペイン風の衣装を身に付け、薄く口ひげを蓄え、やや斜視気味の目が静かにこちらを見ている。絵の裏には、「ドン・マンショ日向国王の孫/甥 豊後国王フランチェスコ(大友宗麟)より教皇聖下への大使 一五八五」という記述があった。この記述から、肖像画の主は、天正遣欧少年使節の主席正使・伊東マンショであると確認された。
曾良を尋ねて(102) 2018年2月号
2018年2月1日 曾良を尋ねて
松平忠輝の遺児としての曾良の存在は幕府にとっては煙たいものであったであろう。それ故曾良の存在を示す資料が少ない。しかし芭蕉と関わった「奥の細道」での活躍で十分に才能を窺うことができる。
枕草子のおもしろさを読む(9)2018年2月号
2018年2月1日 古典に学ぶ
『枕草子』類聚章段の中で、「~げなるもの」という題詞を持つ章段がいくつかある。「暑げ」「恐ろしげ」「いやしげ」などと、おおよそ不快や卑賤な対象から身を引きつつ、再び興味を寄せるという、距離のある関心の表明のあり方である。不快でありながら、どこか憎めない、奇妙に親密な苦笑のようなものがこれらの章段を性格づけている。
はいかい漫遊漫歩(80)(81)2018年2月号
2018年2月1日 はいかい漫遊漫歩
現代俳句協会の第37回現代俳句評論賞(二〇一七年)を受賞した松王かをり(「銀化」同人)の「『未来へのまなざし』―『ぬべし』を視座としての『鶏頭』再考―」は、文語文法を手掛かりに子規俳句〈鶏頭の十四五本もありぬべし〉の深層に迫る画期的な俳論である。