衣の歳時記 (84) 2017年3月号
昼と夜の長さが同じになり、最高気温の平均が15度前後(東京)に落ち着く3月。明るくなった日差しの下、あちらこちらで卒業式の光景が見られる。今正に巣立とうとしている若者を見ていると、思わずエールを送りたくなるのである。
伊勢物語の面白さを読む(32)2017年3月号
2017年3月1日 古典に学ぶ
『源氏物語』が『伊勢物語』の設定を取り入れていると見られる例は他にもある。たとえば、若紫の巻で源氏が幼い紫の上の姿を垣間見する場面は、明らかに『伊勢物語』初段を下敷きにしている。
はいかい漫遊漫歩(58)(59)2017年3月号
2017年3月1日 はいかい漫遊漫歩
三島由紀夫は 昭和15年には、母方の祖父の友人である詩人、川路柳虹に師事、俳句誌『山梔』に俳句と詩の投稿を1年半ほど熱心に続ける。このときから綽名をもじって平岡青城の俳号を名乗り、小説『潮騒』を発表する昭和29年ころまで俳句を詠んでいた。 俳句誌『俳句界』編集長の林誠司さんが、ブログ「俳句オデッセイ」で披露しているエピソード。〈 …兜太がまだ壮年の頃、師である加藤楸邨へ年賀状を送った。年賀状を読んだ楸邨は驚いた。そこには新年の挨拶があり、その脇に「男根隆々たり」という言葉が一筆添えられていたのである。…
自由時間 (45) 2017年2月号
2017年2月1日 自由時間
北斎。宝暦十年(1760)に貧農の子として、両国近くで生まれた。時の将軍は九代徳川家重。少年時代は、貸本屋の丁稚や木版彫刻師の従弟として奉公したが、絵に興味を覚え、絵師を志す。 七十一歳のとき、錦絵『富嶽三十六景』の初版発行、 七十五歳のとき、絵本『富嶽百景』の初編発行(全三編、実際は百二景)。
子規の四季(77) 2017年2月号
左千夫が現れ、秀真・麓もやって来た。左千夫は大きな古 釜を携えて来た。茶をもてなすためである。釜の蓋は近ごろ 秀真が鋳造したもので、つまみの車形は左千夫の意匠だとい う。麓は持参した利休の手簡の軸を釜の上に掛けた。 この日のもてなしの内容は、3月2日付の「墨汁一滴」に 詳述されている。 氷解けて水の流るゝ音すなり 子規
衣の歳時記 (83) 2017年2月号
─ 角巻 ─ 1月に次いで雪の多い2月。太平洋側では日脚が伸びるのを実感できるが、北海道や日本海側は降雪が続く。人々は降り積もる雪の中で淡々と暮らし、遠い春を辛抱強く待つのである。