古典に学ぶ
古典に学ぶ (136) 源氏物語 2024年11月号
2024年11月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたかか⑳ 紫の上⑤ 紫の上亡き後、物語は故人を追悼しながら、いかに心静かに出家を遂げるべきか、そのことだけを求めて生きる光源氏の日々がわびしく綴られている。亡き紫の上を偲ぶしみじみとした哀感が漂う。
古典に学ぶ (135) 源氏物語 2024年10月号
2024年10月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたかか⑲ 紫の上④ 紫の上の命の滅びる寸前の源氏の心情はいかなるものだったか。前回引用部分に続き、秋に入った夕暮れ、紫の上は、源氏と明石の中宮にみとられながら露の命を終えた。
古典に学ぶ (134) 源氏物語 2024年9月号
2024年9月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたかか⑱ 紫の上③ 夏の暑さに病状は悪化し、秋に入った夕暮れ、源氏と明石中宮に看取られながら露の命を終えた。悲しく、美しい人の静かな死であった。紫の上と源氏の歌を挿入したこの場面を少し引用したい。
古典に学ぶ (133) 源氏物語 2024年8月号
2024年8月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたかか⑰ 紫の上② 紫の上は、女三の宮の降嫁以来、心労が積もって発病した。肉体の生理的な病というよりは平癒することのない心の病であった。
古典に学ぶ (132)源氏物語2024年7月号
2024年7月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたかか⑯ 紫の上① 紫の上は、光源氏とかかわりをもった多数の女性たちのなかで、彼の青春期から51歳の最晩年に至るまで、伴侶として生をともにした唯一の人物であった。
古典に学ぶ (131)源氏物語2024年6月号
2024年6月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたかか⑮ 藤壺の宮③ 桐壺帝は、源氏を次代の天皇の世継ぎとなしえなかった無念さを、冷泉院を東宮に立てることで解消しようとした。そして、退位を前にして藤壺を立后させたのも、東宮の地位の安泰を願ったからであった。
古典に学ぶ (130)源氏物語2024年5月号
2024年5月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたか⑭ 藤壺の宮② 『源氏物語』の根底にひそむあるまじき罪の犯しという大きなテーマを語る源氏と藤壺の密会の場面は、和歌の贈答歌を含み、その詳細は省き、ただ二人の対応する心情が重く、凝縮した文体で語られるように思われる。
古典に学ぶ (129)源氏物語2024年4月号
2024年4月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたか⑬ 藤壺の宮① 藤壺の宮は、先帝の第四皇女であり、この人が源氏の父帝の後宮に迎えられたのは、亡き桐壺更衣に面影が生き写しの美貌の人ゆえであった。
古典に学ぶ (128)源氏物語2024年3月号
2024年3月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたか⑫ 六条御息所の死② 六条御息所は『源氏物語』の中では比較的早く退場してしまうが、その存在感は絶大である。
古典に学ぶ (127)源氏物語2024年2月号
2024年2月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたか⑪ 六条御息所の死① 病を得て、衰弱した御息所は、御身の近くに源氏の御座所をしつらえ、ご自分は脇息に寄りかかってご返事などを申し上げる。久々の再会である。
古典に学ぶ (126)源氏物語2024年1月号
2024年1月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたか⑩ 葵上⑥ 葵上亡きあと、源氏と六条御息所が和歌を贈答する場面がある。光源氏が自分のことを、葵上を取り殺した犯人であると疑っているかもしれないと推し量った御息所は、晩秋の哀趣深まる頃、光源氏の思いを知るために洗練の限りを尽くして弔問の手紙を書いた。
古典に学ぶ (125)源氏物語2023年12月号
2023年12月1日 古典に学ぶ
「病」と「死」を物語はどう描いたか⑨ 葵上⑤ 現実には起こりようのない奇怪な事態をまのあたりにした源氏は、女の妄執の恐ろしさにおののいた。