近寄りて離れて花の真正面
大枝垂桜の前と後ろかな
照らされて総身を晒す夜のさくら
寄るものに懐深き糸桜
闇に浮く枝垂桜の気息かな
ひとまはりしてつくづくと糸桜
夜桜に一歩近づき自得とす
春愁と誰かが言へば吾もまた
父多言母は無言や春暖炉
鳴き砂に足を取らるる四月馬鹿
道の辺にその名地獄の釜の蓋
残る鴨五羽ゐて群れを作らざる
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