岩を打つ音裏返る今日の秋
離れては寄りては鶏頭まじまじと
残る蟬連れ鳴く声のなかりけり
かなかなの終りの声を絞りけり
花よりも道連れ探す秋の蝶
蛇穴に入りたる後も砂こぼる
聞き耳を立つれば確と地虫鳴く
海へ出て色なき風を私す
自然薯を掘る段取りに従ひて
指先の踊るごとくに菜を間引く
急く我に声尽くるまで法師蟬
渡る鴨にパン屑を投げ自得とす