蟇目良雨主宰 作品

   露西亜ウクライナへ侵攻2月24日
雪解けの地へづかづかとカタピラー
涅槃図の一人は臥して哭くばかり
ロゼットの葉が持ち上ぐる春の土
為すことを為せば永日もてあます
飛花落花盤水旧居毀たるる
雌蕊みな腫れぼつたくて花通草
節穴に黄の嘴出して雀の子
つくづくと人老いやすし若緑
春愁の口宥めたる黴チーズ
多摩の野はうらうらと晴れ揚雲雀
荷風忌の畳を歩き廻る蠅
妻の死にも馴れて八十八夜かな