2019年7月 (通算480号)
自由時間 (73) 2019年7月号
2019年7月1日 自由時間
東京・上野の東京国立博物館(平成館)で、6月2日まで特別展「国宝 東寺─空海と仏像曼荼羅」が開催された。会期62日間で40万人を超える来場者があったという。普段なら東寺の講堂に鎮まっている。21体の仏像からなる立体曼荼羅のうち、なんと15体(国宝11、重要文化財4)が上野までお出ましになったのだ。そのほかに国宝20点、重要文化財56点も展示されていると聞けば、仏女(仏像女子)ならずとも足を運んでみたくなる。
曾良を尋ねて(119) 2019年7月号
2019年7月1日 曾良を尋ねて
去来に渡った『おくのほそ道』は去来没後、久米升顕、吹田凡遊、白崎琴路へと渡った。琴路は吹田家より譲り受けた素龍清書本を大切に保存し金ケ崎金前寺に句碑を建立。琴路亡き後、琴路の孫に西村孫「素龍清書本」が贈られ大切に保存され現在に至っている。
枕草子のおもしろさを読む(26)2019年7月号
2019年7月1日 古典に学ぶ
清少納言の人間観察 人の心のあり方② あまりかかわりのない人にまで、いたわりの一言をなげかけるような気の回し方は、よほど心の余裕がなければできることではない。たとえ、その場限りの言葉であっても、その言葉を口にしようと思いつくこと、それ自体が、ゆとりのない人間には「えあらぬこと(なかなかできないこと)」なのである。
はいかい漫遊漫(114)(115)2019年7月号
2019年7月1日 はいかい漫遊漫歩
平成時代が31年をもって幕を閉じた。この時代を回顧する本が次々に登場することだろう。その先陣を切り、予め定められた時代の区切りにタイミングを合わせて刊行されたのが、『俳句の水脈を求めて―平成に逝った俳人たち』(角谷昌子著 角川書店刊)。 〈 昭和を生き、平成に逝った26俳人の作品と境涯。彼らはどのように俳句と向き合い、何を俳句に託したか。そのひたむきで多様な生と、魂の表現としての俳句の水脈を探る。〉と帯文が謳う同書に登場の女性俳人は、飯島晴子、野沢節子、桂信子、中村苑子、細見綾子、津田清子、鈴木真砂女の7名。 俳句を始めたのは22歳で、松瀬青々の「倦鳥」に初入選し、同年投句の〈 来てみればほゝけちらして猫柳 〉が巻頭を取る。角谷の記述を引く。 〈 綾子は当時を振り返って、松瀬青々は「生きる魅力と涙」をよく知っている人物であり、師の「俳句の甘美」がなかったら、自分は俳句を作っていなかったと断言する。すべてのものが「空虚」かつ「蕭条」としてぽっかり虚無の口を開けている。そんななか、青々俳句の優しさは命を吹き込む泉の水だった。〉
韓の俳諧(5)2019年7月号
2019年7月1日 韓の俳諧
朝鮮国 通事の俳句(上) 朝鮮通事が読んだ俳句が残されている。上級の通事の場合は記録も残っているが、下位の通事はどの通信使の通事か記録がない。万葉仮名のような記述のため、句の読みが問題だ。