曾良を尋ねて(135) 2020年11月号
2020年11月1日 曾良を尋ねて
曾良の終焉に関しては壱岐死亡説で関係文献等も統一されている。しかし壱岐で死亡したという知らせは案内人であった対馬藩の役人三浦貞右衛門にはまったく知らされていなかったのである。このことは幕府の対馬藩へ知られてはまずいことがあったのであろう何かが意図的に働いたと思われる。また謎は対馬にも曾良の墓があったという江戸時代の記録が出てきて「本土生存説」などとともに益々謎が深まる。
古典に学ぶ (88)源氏物語2020年11月号
2020年11月1日 古典に学ぶ
『源氏物語』という物語名の意味するもの② 『源氏物語』とは、彼から奪われた天皇の座に就く可能性を、藤壺との密通で、そこに生まれた皇子の存在によって取り戻し、回復しようとする恐ろしい〈罪〉の物語なのである。『源氏物語』の名称は、単に光源氏が主人公だからではなく、物語の本質である王権とそれを取り巻く社会を描き出した物語なのである。
韓の俳諧(21)2020年11月号
2020年11月1日 韓の俳諧
『韓城新報』の句会の記事。明治29年6月24日に、第壹會の正風集の募集をしたあと、7月16日に、三傑 三句、十哲 十句を掲載した。三傑が特撰、十哲が入賞ということになる。
「俳句文法」入門 (21) 2020年11月号
2020年11月1日 俳句文法
「り」の誤用例は下二段活用に多い。現代語の感覚で読むと間違いとは思えないからであろう。出あった例をあげる。「覚えり」「駆けり」「詣でり」「上げり」「集めり」「生まれり」「植ゑり」「混ぜり」「比べり」「食べり」
自由時間 (88) 2020年10月号
2020年10月1日 自由時間
今年(2020年)は、ベートーヴェン生誕250周年に当たる。歴史に残る人物の生誕あるいは没後〇〇年を記念していろいろな催し物が行われるのは世の習いである。榎本健一(没後50年)、円谷英二(同)、ジミ・ヘンドリックス(同)、三島由紀夫(同)。今年がメモリアル・イヤーとなる三島由紀夫について採り上げる 三島は、余程ノーベル賞が欲しかったらしい。ドナルド・キーンによると「既に国内外で作品は知られ、三島は海外で最も有名な日本人だった。だが、その証しが欲しかった。最高の栄誉、ノーベル文学賞が欲しいのだと私は直感した」そうだ。