春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

はいかい漫遊漫歩(102)(103)2019年1月号

飄々と平易な言葉で紡ぎ、優しい詩心の伝わる俳句1767句を収録した『今井杏太郎全句集』が、没後6年の平成最後の秋に角川書店から上梓された。杏太郎が、昭和57年度の鶴賞を受賞した時、亡師石塚友二は次のように言っている。「この人の作風は、真正面に坐った上で、真正面に話しかけたりするのは阿呆くさい、さう思ってゐるやうなところがある。兎も角も鶴では風変わりな作者なのである。何処まで行けるものか、行き着くところまで、渾身の勇を奮って試して見られるがよい。杏太郎さんの句には突き抜けた人生観が漂い、総じて人生を肯定的に捉えるあたたかさが溢れている。すでに第1句集『麦稈帽子』に登場する、いわゆる「としより」の句だが、初見のころ、この老人は単なる被写体と私は考えていた。だが今、読み直すと、この老人は作者その人に違いないと思えてくる。

自由時間 (66) 2018年12月号

ノーベル文学賞スキャンダル  ノーベル賞の授賞式が近づいてきた。毎年、アルフレッド・ノーベルの命日、12月10日にスウェーデンの首都ストックホルムのコンサートホール(「平和賞」はノルウェーの首都オスロの市庁舎)で行われる。  ノーベル賞を授与するのはノーベル財団であるが、受賞者の選考については、「物理学賞」「化学賞」「経済学賞」の3つはスウェーデン王立科学アカデミーが、「生理学・医学賞」はカロリンスカ研究所が、「平和賞」はノルウェー・ノーベル委員会が、「文学賞」はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行なっている。 同アカデミーに激震が走ったのは、昨年の11月のことである。

鑑賞 「現代の俳句」(127)2018年12月号

飛石に鳩 尾ありてたまる梅雨 星野恒彦

曾良を尋ねて(112) 2018年12月号

3月4日に再び京都をはじめとして近畿への旅に出る。そこで各地で「衆」と言われる集団と会って連絡を取り合っているこれは推測であるが公儀への情報集めであったと思われる。それにしても曾良は京都近畿の神社、寺をくまなく短期間に見て回っている。

枕草子のおもしろさを読む(19)2018年12月号

「野分のまたの日こそ」(189段)の「をかし」の世界②このように、庭を眺める二人の女性を点出するが、それもその衣の色の一つ一つ、髪の具合とその姿態の一々を精細に書き留めており、『枕草子』の拡散する視野の生むものは、スケッチ風の世界である。一方『源氏物語』の「野分」の巻は、翌朝になってようやくおさまった野分が、一巻の背景として描かれていて、作者の卓抜な描写力が遺憾なく味わえる。

はいかい漫遊漫歩(100)(101)2018年12月号

戦争が終って何年も経ってのことだが、パリでぼくはあるきっかけから、フジタの信頼を受けるようになった。身近に接してみると、この巨匠はおそろしくお人好しだ。それは信じられないくらいで、蔭で夫人がだんだん人嫌いになるのも分かる。あんなにも利用されたり、傷つけられ、金銭を騙し取られるのを見ていると、ぼくでさえ、いらだつ。 日本国籍を返上、フランス国籍を取ったレオナール・フジタは、「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」とよく語っていたという。 〈 私は、世界に日本人として生きたいと願ふ、それはまた、世界人として日本に生きることにもなるだらうと思ふ。〉(藤田嗣治『随筆集、地を泳ぐ』より)

鑑賞 「現代の俳句」(126)2018年11月号

白鳥座の頸を射抜きて星流る 藤埜まさ志

曾良を尋ねて(111) 2018年11月号

上野を発った曾良は一人で江戸に向かった。桑名から船に乗り翌11日伊勢長嶋に着く。ところが12日から21日までの十日間の記述がなく、その間長嶋に滞在していたものと思われる。

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