春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

伊勢物語の面白さを読む(34)2017年5月号

昔男にとってこの旅は、みずから選んだ流離であり、みずから選んだ試練であった。あるいはそれは、歌うことの未熟さによる敗北が招いた、失意の旅であったのかも知れない。他者との交感が実践されない時、心は閉じ、歌も閉じてしまう。しかし、いまやこの男は「ありやなしや」という、素朴でありながら、それゆえにこそ普遍的な、人への問いかけを試みるまでになったのだと思われる。そしてその問いかける歌の声こそが、その場の人々の深い共感を誘発させることになったのである。確かに「歌」なるものは、私たちの生活から遠ざかって久しい。しかし、他者との交感を導くものとしての「歌」の在り方は、今もなお、私たちの心に息づいているのではないだろうか。それこそ「言葉の力」「文学の力」と言い換えてもよいと思う。

はいかい漫遊漫歩(62)(63)2017年5月号

愛妻へ貧しさを詫びる反語句〈 無禮なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ 〉をタイトルにした初句集『無禮なる妻よ』が出たのは、昭和二十九年、夢道五十一歳のときだった。

自由時間 (47) 2017年4月号

昨年は夏目漱石没後百年にあたり、今年は生誕百五十年にあたる(1867年2月9日誕生、1916年12月9日死亡)。というわけで、いろいろな記念事業が行われている。 漱石が十五歳のとき約一年間在籍したことのある二松學舍は、漱石のアンドロイド(人型ロボット)を作り公開した。

曾良を尋ねて (92) 2017年4月号

『奥の細道』における「奥州平泉」の役割

鑑賞 「現代の俳句」(107)2017年4月号

眞筆の示す気骨や冬木立   加藤耕子〔耕〕

子規の四季(79) 2017年4月号

明治二十九年(1896)四月、子規を中心とした郵便による句会「十句集」が始まった。これは東京市内なら朝投函した郵便がその日の午後には届いた、当時の郵便事情を反映していると考えられる。郵便の熱烈な愛好者であった子規は、郵便という当時最先端のメディアを駆使して、句会を運営しようとしたのだろ。

衣の歳時記 (85) 2017年4月号

冬の北風が徐々に東風、南風に変わり暖かくなる四月。日本列島を桜前線が北上し若草が萌え立つ美しい季節である。京都は様々な神事や祭で賑わい、春爛漫を迎える。

伊勢物語の面白さを読む(33)2017年4月号

紫式部は物語の枠組み作りに際し『伊勢物語』をさまざまな形で積極的に利用していることがわかる。『伊勢物語』が描いた昔男の青春の行跡は、光源氏の青春の日々を描くための、この上ない参考資料となっている。まさに、『伊勢物語』の存在なくして『源氏物語』は描かれ得なかったといってよい。そして、紫式部が先行作品として愛好した『伊勢物語』を、千 年後の我々も同じように楽しんで読めるということは、なんと幸せなことであろうか。

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