枕草子のおもしろさを読む(23)2019年4月号
2019年4月1日 古典に学ぶ
清少納言の宮仕え必須論の随想として有名な章段がある。第22段「生(お)ひさきなく、まめやかに」である。宮仕えには否定的な口ぶりの紫式部と対蹠的であるというのも興味深い。
はいかい漫遊漫歩(108)(109)2019年4月号
2019年4月1日 はいかい漫遊漫歩
高浜虚子没後60年を翌年に控えた平成30年夏、戦後俳句を晩年の虚子がどう理解、批評していたかを伝える “肉声の記録 ”を復刻、発言の場に同席していた弟子たちの証言と合わせた貴重な一冊『虚子は戦後俳句をどう読んだか―埋もれていた「玉藻」研究座談会―』(筑紫磐井編著 深夜叢書社刊)が刊行された。 虚子は俳句の評価を花鳥諷詠や客観写生で行っていない。俳句らしい思想と措辞をもっているかで決定する。
韓の俳諧(2)2019年4月号
2019年4月1日 韓の俳諧
【千代女の献上俳句(中)】 加賀千代女の有名な、「朝顔に釣瓶とられてもらひ水」は、千代女の真筆画賛に「朝顔や…」とあり、本来切字 や を用いたものと考えられる。「朝顔に…」が有名になってしまったことが千代女の不運かもしれない。
自由時間 (69) 2019年3月号
2019年3月1日 自由時間
光陰矢の如し。石牟礼道子を見送ったのはついこの間のことのように思っていたが、もう一周忌を迎えた。その2月10日、水俣市では「水俣病を語り継ぐ」主催の朗読会があり、福岡市では関係者による講演会が行われた。作家の池澤夏樹もゲストとして壇上に上がって挨拶した。
曾良を尋ねて(115) 2019年3月号
2019年3月1日 曾良を尋ねて
曾良がすすめた長島訪問は手違い等があり歓待を受けられなかった。そのことを曾良は後に誠に残念であったと語る。芭蕉が伊賀上野に着いてからの20日ほどを特に土芳と親しく語り合った。芭蕉没後土芳が書いた『三冊子』はこの在郷中の教示をまとめたものである。特筆すべきは「白、赤、黒」の中の赤冊子に「不易流行」という言葉が書かれていることである。