枕草子のおもしろさを読む(17)2018年10月号
2018年10月1日 古典に学ぶ
「九月(ながつき)ばかり」(128段)の「をかし」の世界①台風が南岸はるかを東に通り過ぎたのか。本州にかかっていた前線が刺激されて、昨夜はよく雨が降った。今朝はいつもよりも一層まぶしい朝。こういう時、清少納言は実に楽しそうである。 こんな光景を描いた「長月ばかり」(128段)という随想章段がある。「長月」とあるが、もちろん陰暦だから、秋の終わりであり、そろそろ朝晩の冷気も身にしみるころである。一読して、全体がキラキラ光っているような印象を受ける優れた叙景文である。
はいかい漫遊漫歩(96)(97)2018年10月号
2018年10月1日 はいかい漫遊漫歩
本コラムの39話(平成28年5月号)と70話・71話(同29年9月号)で紹介した “ランドセル俳人 ”小林凜君も高校生になり、俳句・エッセイ集『ランドセル俳人からの「卒業」』(ブックマン社刊)を平成30年4月、上梓した。 凜君が3年生のとき、祖母の郁子さんが、当時の校長に不登校になった孫の様子を伝えたくて俳句を見せた。〈 校長から思いがけない言葉が返ってきた。「俳句だけじゃぁ食べていけませんで」そういって、笑ったという。祖母は帰ってきて、「8歳や9歳で将来の仕事がきめられますか」と母に怒りをぶつけた。〉
自由時間 (64) 2018年9月号
2018年9月1日 自由時間
ウィーン美術史美術館(中欧紀行⑤) 宮殿や庭園、美術館、博物館、歌劇場、国会議事堂などが並ぶウィーンの中心部に、ひときわ威容を放つ双子のような建物がある。ウィーン美術史美術館とウィーン自然史博物館である。
曾良を尋ねて(109) 2018年9月号
2018年9月1日 曾良を尋ねて
9月10日の伊勢内宮遷宮式の初日に芭蕉が参拝しなかった理由は伊勢の神は僧侶や尼など頭髪のないものを忌むので芭蕉は髪がなかったため神前に詣でる事ができない旨すでに体験して知っていたため、13日になって(僧尼拝所)から参拝し、夜中に付け髪をしていったと思われる。
枕草子のおもしろさを読む(16)2018年9月号
2018年9月1日 古典に学ぶ
【夏の色、そして「心ざし」の色②】この赤い薄様の手紙の内容は、どんなものであったのか、気になるところである。恋文か、暑中見舞いの挨拶文であったかもしれない。美しく咲いた唐撫子を結びつけた手紙から、大切に思う相手への心が読みこまれていたとも思われる。
はいかい漫遊漫歩(94)(95)2018年9月号
2018年9月1日 はいかい漫遊漫歩
関東大震災から95年を数える。この震災に出合い、世相の混乱ぶりを記憶にとどめている人々は、すでに世を去った。 関東大震災をリアルタイムで体験した詩人金子光晴は、『絶望の精神史』で〈 この災害によって、何かが大きくこわれた。その何かをはっきりさせることが、重大なことなのだ。〉と朝鮮人虐殺の実相に触れて書く。