2019年3月 (通算476号)
自由時間 (69) 2019年3月号
2019年3月1日 自由時間
光陰矢の如し。石牟礼道子を見送ったのはついこの間のことのように思っていたが、もう一周忌を迎えた。その2月10日、水俣市では「水俣病を語り継ぐ」主催の朗読会があり、福岡市では関係者による講演会が行われた。作家の池澤夏樹もゲストとして壇上に上がって挨拶した。
曾良を尋ねて(115) 2019年3月号
2019年3月1日 曾良を尋ねて
曾良がすすめた長島訪問は手違い等があり歓待を受けられなかった。そのことを曾良は後に誠に残念であったと語る。芭蕉が伊賀上野に着いてからの20日ほどを特に土芳と親しく語り合った。芭蕉没後土芳が書いた『三冊子』はこの在郷中の教示をまとめたものである。特筆すべきは「白、赤、黒」の中の赤冊子に「不易流行」という言葉が書かれていることである。
枕草子のおもしろさを読む(22)2019年3月号
2019年3月1日 古典に学ぶ
「正月十余日のほど、空いと黒う」章段(138段)は、空模様から描写は始まり、地上へと目を移すと、「えせ者の家のあら畑」が広がっている。「えせ者」とは具体的にはどんな人なのかはわからないが、貴族ではあっても土着性の濃厚な人をいうのであろう。
はいかい漫遊漫歩(106)(107)2019年3月号
2019年3月1日 はいかい漫遊漫歩
歌舞伎町のど真ん中。薄暗い路地の奥に「砂の城」というアートサロンがある。体重を乗せるたびに悲鳴をあげる古びた階段を三階まで上がると、八畳ほどのスペースがある。ここで僕らは新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」を名乗り、句会を行っている。 集まる面々は、ニート、女装家、元ホスト、バーテンダー、ミュージシャン、医者、彫刻家など、市井の句会ではまず見かけない者たちばかりだ。
「俳句文法」入門 (1) 2019年3月号
2019年3月1日 俳句文法
正しい日本語とは何か、美しい日本語とは何か、という観点から見て破格の文法は好ましくはない。美しい正しい日本語を守るのが詩人の使命ではないのか。
韓の俳諧(1)2019年3月号
2019年3月1日 韓の俳諧
【千代女の献上俳句(上)】韓国とは、長い文化の交流があり、12回の朝鮮通信使の来日が江戸時代にあった。加賀藩では第11回の通信使へ千代女に俳句の献上を命じた。千代女は支考に絶賛された俳人で、伝説に事欠かないが、確かな資料が乏しい研究者泣かせの人である。