古典に学ぶ
古典に学ぶ (100)源氏物語2021年11月号
2021年11月1日 古典に学ぶ
柏木の病と死② 六条院の東南の春の町で、柏木・夕霧などの若い世代によって行われた桜の花の下の蹴鞠は、息苦しい「蔭」への挑戦のように、蹴鞠の鞠が高く蹴上げられ、桜を散らし、六条院の秩序世界に裂目を入れていく場面として描かれている。
古典に学ぶ (99)源氏物語2021年10月号
2021年10月1日 古典に学ぶ
「瘧病」という語の意味するもの②・柏木の病と死 興味深いことに、藤壺、朧月夜、女三宮の密通に、桜が密接に関わっていることがいわれる。
古典に学ぶ (98)源氏物語2021年9月号
2021年9月1日 古典に学ぶ
「瘧病」という語の意味するもの① 「瘧病」という言葉の特殊性はやはり、前にも述べたように、源氏と藤壺、朧月夜との密会に 関する場面にのみ出現するのであって、あきらかにに意識的に使用される。
古典に学ぶ (97)源氏物語2021年8月号
2021年8月1日 古典に学ぶ
『源氏物語』の密通と「病」・朧月夜と「病」② 十帖「賢木(さかき)」終盤に、朧月夜が瘧病になって退出し、源氏と密会し、二人の関係が発覚する有名なくだりがある。
古典に学ぶ (96)源氏物語2021年7月号
2021年7月1日 古典に学ぶ
『源氏物語』の密通と「病」・朧月夜と「病」① 『源氏物語』の重要なテーマの一つに不義密通があるが、前回迄の藤壺や朧月夜、そして女三の宮といった、重要な女君たちの密通には必ず病が不可欠な要素としてかかわっている。
古典に学ぶ (95)源氏物語2021年6月号
2021年6月1日 古典に学ぶ
『源氏物語』に描かれた「病(やまい)」③ 「わらは病み」はしばしば「童病」と書かれ、子供に多いとされる病である。光源氏は、12歳で元服したにもかかわらず、大人になりきれず、少年時代に持った藤壺への思慕を引きずり続けていたが、この北山で、犯した罪の意識を自覚することで、その混迷から抜け出す手がかりをつかむことになる。
古典に学ぶ (94)源氏物語2021年5月号
2021年5月1日 古典に学ぶ
『源氏物語』に描かれた「病(やまい)」② 18歳の若き光源氏の心身を蝕んでいる潜伏性の「病(やまい)」とは、言うまでもなく義理の母である藤壺との密通という罪の意識、そして、その事実が世間に知られれば身の破滅となりかねない。さらに父桐壺帝を欺き続けるという良心の呵責は不断に光源氏を責め続けていたに違いない。
古典に学ぶ (93)源氏物語2021年4月号
2021年4月1日 古典に学ぶ
『源氏物語』に描かれた「病(やまい)」 「近代文学は病気から始まる」とよく言われる。それは『源氏物語』でも同じである。この抗うことのできないコロナ禍で、文学に描かれる「病」とは人間にどんな意味を投げかけるのだろうか。『源氏物語』には、次のような多くの「病」が描かれる。
古典に学ぶ (92)源氏物語2021年3月号
2021年3月1日 古典に学ぶ
「光隠れたまひにし後」の物語・第三部「宇治十帖」② 薫は、自分が不義の子であることが明確になってしまうのが怖い。もし、真実が明らかになり、それが世間にばれてしまったら、今まで光源氏の息子としてもてはやされてきた全てを失うことになるかも知れない、と怯えてもいる。「将来は天皇に等しき位まで栄達する」と高麗の人相見に予言され、その通りに頂点を目指し果敢に挑戦し、それを実現していった光源氏とは対照的である。
古典に学ぶ (91)源氏物語2021年2月号
2021年2月1日 古典に学ぶ
「光隠れたまひにし後」の物語・第三部「宇治十帖」 『源氏物語』の第3部は、光源氏の死から8年後に始まる子や孫たちの話に移る。
古典に学ぶ (90)源氏物語2021年1月号
2021年1月1日 古典に学ぶ
暗転する第二部の物語世界 『源氏物語』の作品世界内部における出来事を、主人公(第1部、第2部は光源氏。第3部は薫)の年齢を基準にして時間的に順を追って記したものを「源氏物語年立(げんじものがたりとしだて)」、または「年立(としだて)」と呼ぶ。
古典に学ぶ (89)源氏物語2020年12月号
2020年12月1日 古典に学ぶ
光源氏の王権回復の物語 『源氏物語』は全54帖、原稿用紙に換算すると約2,300枚もの壮大な物語だが、その全体を概観すると、以下のような3部構成と見ることができる。第1部は1帖の「桐壺」から33帖「藤裏葉(ふじのうらば)」まで、源氏の出生から源氏が准太上天皇をきわめるまでである。