日本酒のこと
「日本酒のこと」(12) 2021年12月号
2021年12月1日 日本酒のこと
燗酒が美味しい季節になりました。日本酒は常温、冷酒、燗酒と幅広い温度帯で楽しめる世界でも稀なお酒ですが、特に燗酒にすると魔法をかけたようにお酒の香味がプラスへプラスへと様変わりします。これはワインに比べ乳酸やアミノ酸等を多く含む日本酒は、温めることによりお米の持つ上品で柔らかな甘味分が膨らむ一方で、渋みや雑味分が抑えられるからです。
「日本酒のこと」(11) 2021年11月号
2021年11月1日 日本酒のこと
「杜氏来る」はご存知のように冬の季語です。杜氏とは、日本酒造りの技能集団である蔵人(くらびと)を統括する役職のことです。毎年11月に入ると酒蔵には杜氏を筆頭に蔵人の集団がやって来ます。そして、寒造りの酒を搾り切った3月には集団で出身の故郷へ帰っていきます。
「日本酒のこと」(10) 2021年10月号
2021年10月1日 日本酒のこと
皆さんは「純米酒」と聞いてどんなお酒を想定されますか。既に何度も触れましたが、日本酒は蒸した米を麴菌の力で糖化させ、これを酵母菌の発酵作用によりアルコールに転化したものです。この場合の材料は米・水、微生物である麴菌・酵母菌ですが、日本酒造りにおいては、発酵途中のタンク内に醸造用アルコールや糖類、酸類等を添加することも認められています。
「日本酒のこと」(9) 2021年9月号
2021年9月1日 日本酒のこと
まだまだ残暑厳しき折ですが、9月の声を聞くと秋の到来を告げる「秋の冷やおろし」又は単に「冷やおろし」と表示された日本酒が店頭を賑わせ始めます。冷やおろしとは、この年に醸造してタンクに貯蔵していた日本酒を、秋のこの時期にタンクから取り出して瓶詰め出荷したお酒のことです。
「日本酒のこと」(8) 2021年8月号
2021年8月1日 日本酒のこと
「冷酒」は言わずと知れた夏の季語です。これを歳時記で調べると「日本酒は燗で飲むのが一般的だが夏は暑いのでそのままで飲む人が多い。冷酒といい、冷やで飲むともいう。」とあり、その後に「井戸や冷蔵庫に入れて冷し酒にする人もある。」と続けています。
「日本酒のこと」(7) 2021年7月号
2021年7月1日 日本酒のこと
第4回目のこの欄で、良質な酒を目指す地方の酒蔵の地道な努力の甲斐あって1990年(平成2年)に特定名称酒に関する法律が施行されたことを紹介しました。この法律により、日本酒(=清酒)の世界はそれまでの特級・一級・二級酒の区分に替わり、「特定名称酒」とそれ以外の「普通酒」に分類されることになりました。
「日本酒のこと」(6) 2021年6月号
2021年6月1日 日本酒のこと
我々は日頃漠然と日本酒と呼んでいますが、これを大辞林で引くと「日本特有の酒、特に清酒をいう」とあります。日本特有の酒といえば焼酎も昔から日本の伝統的なお酒ですが、日本酒とは別物として認識されています。
「日本酒のこと」(5) 2021年5月号
2021年5月1日 日本酒のこと
前回は、地方の良心的な酒蔵の努力により1990年(平成2年)に大吟醸酒、純米酒等の特定名称酒に関する法律が施行されたことを述べましたが、今回は我々が長年にわたり馴染んでいた特級酒、一級酒、二級酒の級別制度に触れておきたいと思います。
「日本酒のこと」(4) 2021年4月号
2021年4月1日 日本酒のこと
50代以上の中高年世代だと、花見酒等の楽しい思い出がある反面、日本酒は甘たるい、悪酔いする、酔うと臭い等のネガティブなイメージを持つ方が多いと思います。しかし、今の40代以下の若い世代に同じ質問をしたら全く異なった答えが返ってきます。「米の持つ旨味が口に拡がる」、「キレが良く喉越しが心地好い」、「白ワインみたいに香りがフルーティ」といったポジティブな評価が大半を占めるはずです。
「日本酒のこと」(3) 2021年3月号
2021年3月1日 日本酒のこと
3月上旬の酒蔵はアルコール発酵の終わったタンク内の醪(もろみ 白くどろどろした液体)を搾る最終段階にあります。その搾りたての新酒は「にごり生酒」、「おりがらみ生酒」、「無濾過生酒」等の商品名で店頭を色鮮やかに飾っています。
「日本酒のこと」(2) 2021年2月号
2021年2月1日 日本酒のこと
寒造を歳時記で調べると「寒中の水で酒を醸すこと、とりわけ寒中の水を使って造った酒は味が良い」等と解説されています。日本酒は寒の時期を中心に11月から3月にかけてと寒い時期に造られるのが一般的ですが、何故なのでしょうか。
「日本酒のこと」(1) 2021年1月号
2021年1月1日 日本酒のこと
日本酒は米という農産物を材料として、何段階も の加工工程を経て造る工業製品と云えます。併せて、米の種類、精米の度合い、 酵母菌の種類等で日本酒の味や香りに大きな違いが出てくるため、この分野での 技術開発の競争が熾烈となっています。