春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

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子規の四季 (71)  2016年8月号 草花帖

明治35年(1902)8月1日(金)晴。 子規は、渡欧した中村不折から預かった画帖を無断で貰い受け、「草花帖」と名づけて写生を始めた。すでに6月からは「果物帖」の写生をしていたから、8月6日までは2つの画帖が並行して画かれたわけだ。

衣の歳時記(77) 2016年8月号

ー簡単服・アッパッパー 陽暦八月に相当する陰暦七月は、文月だけでなく七夕月、文披月、女郎花月、涼月などの風情ある異称を持ち、それとなく秋の気配を感じさせる。

俳句時事(171) 作句の現場「花田植」2016年7月号

「花田植」は広島県北広島町に伝わる田植行事で、その起源は室町時代に遡ると伝えられている。飾りたてた牛が田を搔き、早乙女が田楽に合わせて田植歌を唄いながら苗を植える。のどかな初夏の田園にくり広げられる一大絵巻で、既にユネスコの文化遺産に指定されている。

子規の四季 (70) 2016年7月号 果物帖

子規は「果物帖」を画きはじめた。連日モルヒネを服用するほどの病苦をまぎらわすため、画帖に身辺の果物を写生しようと思い立ったのである。大好きな果物を、これも大好きな絵にすることは、子規にとって何よりの慰めになったことだろう。

衣の歳時記(76) 2016年7月号

─レース ─ 厳しい炎暑が始まる七月。日暮れても地面の火照りが体に纏わり、夏の真直中にいることを思い知らされる。若者たちといえば、海やキャンプ場で伸びやかに盛夏を謳歌する。

俳句時事(170) 作句の現場 「山葵の花」2016年6月号

山葵の花は夏の季語だが、実際に咲き出すのは三月の終り頃からである。春の寒さの残る山裾や渓流に開いた四弁の花は、いかにも清々しい。  山葵の学名は、Wasabia・Japonicaという日本名を持つ日本独特のspiceである。この野生の山葵は古くから海外でも上流社会の人に香辛料として珍重されて来たようだ。

衣の歳時記 (75) 2016年6月号

─夏シャツ・開襟シャツ ─ 梅雨入りとなる六月。暦の上では二十四節気の芒種から夏至へと進む。芒種とは芒のぎのある穀物を播く時期という意で、農村では田植の風景が広がる。モンスーン地帯特有の高温多湿の季節が始まる。

子規の四季 (69) 2016年6月号 子規の愛した鮓

われ愛すわが豫州松山の鮓    子規 われに法あり君をもてなすもぶり鮓 同

俳句時事(169) 作句の現場「蜃気楼」2016年5月号

富山湾の蜃気楼もそのうちの一つ。毎年三月から六月にかけて発生するが、実際に目にすることは難しい。私の長年の念願がようやく叶ったのは数年前の春の連休が終る頃だった。その日の気温はそれほど暑くも寒くもなく、時折弱い風が吹くさわやかな日和であった。

子規の四季 (68) 2016年5月号 病牀苦語

子規の「病牀苦語」の冒頭の1節。署名は「子規口述」となっており、病床で筆を持てない子規が口述し、妹・律が筆記したものと考えられる。  此頃は痛さで身動きも出来ず煩悶の余り精神も常に穏やかならんので、毎日二三服の麻痺剤を飲んで、それでやうやう暫時の麻痺的愉快を取つて居るやうな次第である。

衣の歳時記(74) 2016年5月号

─ 夏 羽 織 ─ 時折、空や明るい日差しの中に夏の兆しを感じる五月。さ緑の美しい梢が風と響き合っているような心躍る季節である。

俳句時事(168) 作句の現場「河津桜」と「吊し雛」2016年4月号

寒さのまだ残るこの時期に伊豆で知られるもう一つのイベントが稲取の「雛の吊し飾」である。稲取駅から歩いて十二、三分のところに雛の館と呼ばれる「むかい庵」がある。 ここでは雛の「段飾り」を中心に多くの「吊し雛」が飾られている。

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