俳句文法
「俳句文法」入門 (26) 2021年4月号
2021年4月1日 俳句文法
過去を表す助動詞「き」は一般に連用形に付き「せ・〇・き・し・しか・〇」と活用。連体形「し」が頻用。「き」は過去のみに非ず。完了存続詠嘆余情等あり。
「俳句文法」入門 (25) 2021年3月号
2021年3月1日 俳句文法
接続助詞「て」にラ変動詞「あり」の約が「たり」。存続(…ている。…てある。)と完了(…た。…てしまう。…てしまった)の意味がある。
「俳句文法」入門 (23) 2021年1月号
2021年1月1日 俳句文法
完了の助動詞「ぬ」は〈な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね〉とナ変(死ぬ・往ぬ)型に活用する。完了の訳は「…た。てしまった。てしまう」。他に存続(ている、てある、と訳す)の意味がある。また確述・強調(確かに…する。きっと…する、と訳す)の意味もある。
「俳句文法」入門 (22) 2020年12月号
2020年12月1日 俳句文法
紅葉せる麓の水車音軽し 持田良枝 もみぢは上二段活用もみづの連用形名詞。名詞に「す」が付くと複合動詞のサ変となる。もみぢせ、はその未然形。る、は、りの連体形。
「俳句文法」入門 (21) 2020年11月号
2020年11月1日 俳句文法
「り」の誤用例は下二段活用に多い。現代語の感覚で読むと間違いとは思えないからであろう。出あった例をあげる。「覚えり」「駆けり」「詣でり」「上げり」「集めり」「生まれり」「植ゑり」「混ぜり」「比べり」「食べり」
「俳句文法」入門 (20) 2020年10月号
2020年10月1日 俳句文法
助動詞「り」は「あり」の転じた約語。本来存続の意味で「…ている。…てある」と訳す。完了の意味(…た。…てしまう、と訳す)に用いられることもある。 古文では四段活用とサ変の動詞にしか付かない。
「俳句文法」入門 (19) 2020年9月号
2020年9月1日 俳句文法
しづまるという語は 古語ではしづまる。静まるに下二段活用がないのと同様に静もるにも下二段活用はないであろう。「静もる」の口語的な連体形は静もれる、であろう。「鎮もるる」「静もるる」の用例は 文語文法にはなく、口語文法にもない。
「俳句文法」入門 (16) 2020年6月号
2020年6月1日 俳句文法
シク活用の例語には、悪(あ)し・あやし・いみじ・いやし・美し・うれし・同じ・悲し・苦し・久し・よろし・をかし・惜(を)し等がある。じの言い切りに注意。 芭蕉の句「こそ恋しけれ」は係結びの法則を踏まえたもの。
「俳句文法」入門 (15) 2020年5月号
2020年5月1日 俳句文法
「じ」で言い切る形容詞もあるので覚えておこう。特に「同じ」という語である。未然形から〈じく・じから〉と活用してゆく。これもシク活用という。